毎日何度も行う、ベッドと車いすの乗り移り(移乗)。
「持ち上げるたびに腰がピキッと痛む…」
「毎日の負担で、もうクタクタ…」
そんな風に悩んでいませんか?
「私の筋力がないから…」と自分を責める必要はまったくありません!
実は、腰を痛める原因は力不足ではなく、**「力任せに持ち上げようとしているから」**です。
この記事では、作業療法士の視点から以下の内容をお届けします。
今日からできる「ちょっとした体の使い方のコツ」
腰痛を劇的に減らしてくれる「便利な道具」
根性論ではないラクな介護を、今日から一緒に始めましょう!
1. よくある!移乗の失敗例と作業療法士の解決策
よかれと思ってやっていることが、実は腰痛の原因になっていることもあります。よくある3つの失敗パターンと対策をまとめました。
①「服やズボン」を引っ張って動かそうとする
- 失敗の理由
- 掴みどころがなくて余計な力が入りやすい
- ご本人の皮膚を傷つけたり、服が破れる原因になる
- バランスを崩しやすく、お互いに転倒するリスクがある
- OTの対策
- ご本人の「お尻(骨盤)」を後ろから包み込むように支えましょう。安定感が段違いに変わり、余計な力が要らなくなります。
② ご本人の首に「後ろから抱きつかせる」
- 失敗の理由
- ご本人の体重が、すべて介助者の首と腰にドスンとかかります。一番腰を痛めやすい、絶対に避けたい姿勢です。
- OTの対策
- ご本人の手は、介助者の「肩」や「脇の下」に置いてもらいましょう。これだけで重さが分散されます。
③「せーの!」で真上に持ち上げようとする
- 失敗の理由
- 重力に逆らって「持ち上げる」のは一番力が必要です。
- OTの対策
- 「上」ではなく、行きたい方向へ「横に回す(スライドする)」意識を持ちましょう。これだけで必要な力が半分になります。
2. 今日からできる!腰の負担を減らす3つの基本
特別な道具がなくても、今すぐ見直せる環境と手順のポイントです。
① ベッドと車いすの「高さ」を合わせる
- NGな状態:高さがバラバラだと「持ち上げる」動作が発生します。
- コツ:ベッドの電動昇降機能を使いましょう。
- 目安:「車いすと同じ高さ」か、「ベッドをほんの少し高め」にすると、横に滑りやすくなります。
② 車いすは「斜め30度」にピタッとつける
- NGな状態:ベッドに対して車いすを真横(並行)に置くと、移動距離が長くなります。
- コツ:車いすをベッドに対して「斜め30度」くらいに傾けて近づけます。
- 効果:移動距離が最短になり、腰をひねる負担が減ります。
③ ご本人の「お辞儀の力」を借りる
- 全部を抱え込まず、ご本人にも少しだけ手伝ってもらいます。
- 動き出すときに、「頭を少し前に倒して、お辞儀をしてくださいね」と声をかけます。
- これだけでお尻がフワッと浮きやすくなり、軽い力で回れます。

3. 腰痛の救世主!劇的に楽になる福祉用具3選
体格差がある場合などは、絶対に道具を頼ってください。介護保険を使っておトクに利用できるものもあります。
① スライディングボード(滑らせる板)
- どんな道具?:ベッドと車いすの間に架け橋のように渡し、お尻を滑らせる板。
- ここがラク!:「持ち上げる」必要がゼロになり、「横にスーッと滑らせる」だけになります。
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② 移乗用介助ベルト(取っ手付きベルト)
- どんな道具?:ご本人の腰や太ももに巻きつける、頑丈な取っ手が付いたベルト。
- ここがラク!:服を引っ張る必要がなくなり、取っ手をしっかり握って安全にご本人の重心をコントロールできます。
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③ 肘掛けが上がる・足置きが外せる車いす
- どんな道具?:肘掛けが跳ね上がり、足置き(フットサポート)を外せるタイプ。
- ここがラク!:邪魔なパーツが消えるため、車いすとベッドを隙間なくピタッと密着できます。移動距離が「ゼロ」になります。
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まとめ:介護は「ラク」をしていい!
移乗の負担を減らすことは、あなたの腰を守るだけでなく、される側のご本人にとっても「引っ張られない」「怖くない」という安心感に繋がります。
今回ご紹介した福祉用具は、ケアマネジャーさんを通じて介護保険(レンタルや購入)を利用すれば、月々数百円ほどで使えるものがたくさんあります。
「毎日大変だな」と感じたら、一人で抱え込まずに、ケアマネジャーさんや私たち作業療法士(OT)にいつでも「もっと楽な方法はない?」と相談してくださいね!


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