【作業療法士が解説】40〜50代で迎える親の認知症。介護のイライラ・負担を減らす「3つのお悩み別」解決ヒント

リハビリ

こんにちは。作業療法士のノッポマンです。

40代、50代を迎え、仕事や日々の暮らしで忙しい日々を送る中、親御さんの「もの忘れ」や「今までと違う行動」に戸惑うことはありませんか?

「何度も同じことを聞かれて、つい声を荒らげてしまう」
「仕事に出かけたいのに、目が離せなくて困っている」
「優しくしたいのに、毎日イライラして自己嫌悪になってしまう」

このようなお悩みは、決してあなただけのものではありません。

認知症の介護は、がんばりすぎてしまうと介護する側の心と体が先にすり減ってしまいます。大切なのは、100点満点の介護を目指すことではなく、「どうすればお互いの負担を減らせるか」という工夫です。

今回は、リハビリの専門職である作業療法士の視点から、40〜50代のご家族が特に直面しやすい3つの具体的なお悩みと、その解決のためのヒントを丁寧にご紹介します。


お悩み1:「何度も同じことを聞いてくる・探している」

「今日は何日?」「私のサイフがない!」など、さっき答えたばかりのことを何度も聞かれたり、お家の中で探し物をし続けたりするお悩みです。忙しい時間帯に重なると、つい「さっきも言ったでしょ!」と言いたくなってしまいますよね。

【作業療法士の視点】理由と解決のヒント

認知症になると、数分前の記憶をとどめておくことが難しくなります。また、記憶が消えてしまうことで、ご本人は「激しい不安」の中にいます。何度も聞くのは、その不安を解消したいからです。

  • 「安心できる目印」を一緒に作る
    何度も日付を聞かれる場合は、大きくて見やすい日めくりカレンダーを、必ず目が届く場所に置きます。「今日はここだよ」と毎朝一緒にめくるのを日課にするのもおすすめです。
  • 探す場所(定位置)を決めて、見える化する
    サイフなどの貴重品は、透明なケースやカゴに入れて「いつも置く場所」を決めます。引き出しに隠してしまうと、ご本人には「消えてなくなった」と感じられます。あえて「見える場所」に置いておくことで、探す行動が落ち着くことがあります。

お悩み2:「着替えや入浴、ご飯を拒否される」

「お風呂に入ろう」「服を着替えよう」と声をかけても、「入らない!」「後でいい!」と頑なに拒まれてしまい、スケジュール通りに進まずイライラしてしまうというお悩みです。

【作業療法士の視点】理由と解決のヒント

ご本人にとっては、プライドや「なぜ今それをしなければいけないのか」が分からない戸惑いがあります。また、服の脱ぎ着や、お風呂に入るという一連の複雑な動作が難しくなり、面倒になっているケースも多いです。

  • 「選択肢」を少なくして提案する
    「何を着る?」と聞かれると、たくさんの洋服を前に混乱してしまいます。「青い服と、赤い服、どちらがいいですか?」と2択で選んでもらうと、ご本人が選びやすく、スムーズに行動へ移りやすくなります。
  • 役割や「次の楽しみ」をセットにする
    「お風呂に入りましょう」ではなく、「夕食の前に、少しさっぱりしませんか?」「お風呂上がりに、美味しいお茶を淹れますね」など、ご本人が納得しやすい理由や、その後の楽しみを付け加えて声をかけてみてください。

お悩み3:「仕事中や外出中、一人にさせるのが不安」

40〜50代の方は、お仕事やご自身の家庭の用事で、どうしても親御さんを自宅に一人にさせなければならない時間がありますよね。「火の不始末はないか」「外へ出て迷子にならないか」と、気が気でないというお声をよく伺います。

【作業療法士の視点】理由と解決のヒント

ご本人は「お留守番をしている」という認識が薄れ、「仕事へ行かなければ」「買い物をしなければ」と、昔の習慣で外へ出てしまうことがあります。安全を守るための環境づくりが大切です。

  • 「出かける理由」を置き手紙で残す
    ご本人がよく座るテーブルの上など、必ず目に入る場所に、分かりやすい文字で置き手紙を残します。「〇〇(あなたの名前)は、仕事に行っています。夕方4時に帰ります。おやつを食べて待っていてね」と書いておくだけで、それを見たご本人がハッと安心し、外出を思いとどまることがあります。
  • 安全のための福祉用具や家電の工夫
    ガスコンロをIHクッキングヒーターに変更したり、一定時間で自動消火する機能を使ったりして、火災のリスクを減らします。また、最近ではドアが開いたことをスマホに通知するセンサーや、見守りカメラなどの便利な機械もたくさんあります。これらを導入することで、離れていてもご家族の心の安心につながります。

まとめ:一人で抱え込まず、私たちプロを頼ってください

40〜50代の皆様は、ご自身の生活や仕事だけでも大変なエネルギーを使う時期です。そこに介護が加わるのですから、イライラしてしまうのも、疲れてしまうのも、当然のことです。ご自身を責める必要はまったくありません。

自宅での暮らしを穏やかに続けるためには、ご家族だけで解決しようとせず、介護保険サービスや私たち専門職を上手に味方につけることが一番の近道です。

デイサービス(通所介護)を利用してご自身の時間を作ったり、訪問リハビリで作業療法士を呼び、お家の中の具体的な環境調整(手すりの位置や、分かりやすい片付け方など)を一緒に考えたりすることができます。

親御さんの「できること」を活かし、お家の工夫を少し変えるだけで、毎日の介護がフッとラクになる瞬間が必ずあります。

まずはケアマネジャーさんや、地域の相談窓口である「地域包括支援センター」へ、今一番困っていることをお話ししてみてくださいね。あなたの心が少しでも軽くなるお手伝いを、私たちはいつでも応援しています。

お近くの相談窓口はこちらから探せます

どこの地域包括支援センターに相談すればよいか分からない方は、厚生労働省の公式検索サイト 介護サービス情報公表システム から、お住まいの地域を指定して簡単に検索することができます。

介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」

また、各都道府県のホームページに掲載されている一覧から探したい場合は、こちらの 厚生労働省:全国の地域包括支援センターの一覧 ページから、お住まいの自治体の窓口を確認してみてくださいね。

地域包括ケアシステム

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